ゆとぶ - 片上裕翔のブログ

片上裕翔 - 日本と海外を比べてみよう

メインのテーマは英語。日本(日本人)と海外(外国人)の違いや英語の勉強方法について、これまでの経験から感じた事を記事にしています。

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映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

暇だったので Amazon Prime の無料のビデオを漁っているなか、たまたま「プリデスティネーション」という映画を見ました。最初はどういう映画かも知らずに本当に偶然見たんですが、めちゃくちゃ興味深い映画です。

見た後、色々と気になることが出てきます。本当に話がつながってるのか?話が矛盾していないか?あそこであれが起きるとこれが起きなくない? とか疑りにかかります。

ということでプリデスティネーションという映画を解説しますが、 

 

映画をまだ見ていない人はこれを読む前に一度見ることをおすすめします。

 

実際に映画を何度も見直した限りではかなり良く作りこまれてると感じたのでそれをここで紹介していきたいと思いますが、本当に何も読まずに先に見た方がいいです。事前知識なしで見た方が絶対に楽しいです。Amazon Prime を持っている人なら無料です。

たまたま開いちゃった人の画面内にネタバレが入らないように、少し↓まで改行をいれておきます。それぐらい見てない人には読んでほしくない。逆に見た人と「あぁでもない、こうでもない」という話がすごくしたい。

 

 

 

 

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プリデスティネーション  = 運命

それでは僕なりにこの映画の解説をしたいと思います。

 

映画を見た人ならお分かりだと思いますが、この映画には出てくる「ジェーン」「ジョン」「バーテンダー」「不完全な爆弾魔」はすべて同一人物です。

詳しくはもう少し後で時系列に説明しますが、「主人公(バーテンダー)」は「女だったころの自分 (ジェーン)」と「男になった直後の自分 (ジョン)」の間に生まれた子で、使命として追跡している「不完全な爆弾魔」は将来の自分です。

タイムトラベルと特殊な体質だったことにより「自分の親が自分」というパラドックスができています。

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

全部が同一人物なので、説明のためここからジェーン、ジョン、バーテンダー、爆弾魔と分けて呼びます。

  • ジェーン:産まれてから男になるまで
  • ジョン:男になってから、火傷で顔が変わるまで
  • バーテンダー:主人公
  • 爆弾魔:爆弾置く自分

 

映画の時系列で振り返る

映画は爆弾を解体するシーンから始まります。

ジョンは爆弾魔に邪魔をされ、爆弾の解体が間に合わずに火傷を負ってしまいます。この火傷のより顔が「ジョン」から「バーテンダー」に変わります。映画の後半までわかりませんが、ここでバイオリンケース(タイムマシーン) を近づけてくれるのも、爆弾魔も両方未来の自分です。

火傷から復活して、バーテンダーとして働いている主人公のもとにやってきた男性 (ジョン) の昔話を聞きます。この昔話で「ジェーン」としての人生を振り返ります。まとめるとこんな感じの話

  • 産まれてすぐに孤児院のドアの前に放置された 
  • 孤児院で貰い手が見つからず、SpaceCorp に抜擢される。宇宙飛行士になるために育成されていたが、途中で資格を理不尽にはく奪される
  • 夜間学校で男性と恋に落ちる。同時期にエリートとしての道をロバートソンに提示される。
  • 男性は数ヶ月でいなくなってしまったが、子供を授かった。(子供を授かったことによりエリートへの道も途絶えた)
  • 子供を産んだ時、自分が女性と男性の性器を両方持っている特殊な体質であることを初めて知る。お産により女性部分は摘出することになり、今後男性として生きていく事になる。
  • 赤ん坊がさらわれてしまう。
  • 「ジェーン」は「ジョン」と名乗り、ニューヨークでライターを始める

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

なかなかハードな人生話を一通り話を聞いた後、バーテンダーはジョンを自分の後継者として考えていることを伝え、ジョンを 1963/4/3 (ジェーンが男性と出会う日 ) に連れていきます。

ジョンは「その男性」とジェーンが出会わないように(殺すために)待ち伏せをしますが、そこでジェーンとぶつかり、「その男性」が自分だったことを認識します。

バーテンダーは二人が出会ったことを確認し、1970/3/2 (映画の始まりの日時) に飛びます。映画の最初のシーンでは爆弾を解除しようとして火傷を負ってしまったが、そのさらに前に飛ぶことで爆弾魔が爆弾をセットするタイミングに鉢合わせることに成功します。

しかし、爆弾魔を倒すことはかなわず、ジョンが火傷を負っているのを目撃したバーテンダーはバイオリンケースをジョンに近づけます。(ここで映画の最初のシーンでバイオリンケースを近づけてくれたのが自分だったことがわかる)

爆弾の破片を手に入れたバーテンダーは傷をいやした後、ジェーンの赤ん坊をさらい、赤ん坊と一緒に 1945/9/13 に飛び、孤児院のドアの前に赤ん坊を放置します。(ここで赤ん坊をさらったのも、放置したのもバーテンダーだったということがわかる。)

バーテンダーは 1963/6/24 (ジョンとジェーンが出会ってから 3か月弱) に移動し、ジョンを迎えに行く。(これでバーで聞いた別れ話がそのまま再現される)

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

後継者となるジョンを組織に連れて行き、バーテンダーは引退のため、爆発の数ヶ月前のニューヨーク (1975/1/7) の飛ぶ。これが最後のタイムトラベルとなり、バイオリンケースの装置が自動破壊するはずが、壊れない。

1975/3 月 (爆発事件の前日) にコインランドリーで爆弾魔を捕まえる。

ここで爆弾魔も自分であることを知る。爆弾魔はこの爆発が将来の様々な事件を止める事につながると言う。未来の新聞野切り抜きを証拠として見せるが、バーテンダーは爆弾魔を撃つ道を選ぶ。

最後、新聞の切り抜きと、タイムトラベルができる装置を前に、映画が終わる。

 

主人公視点で時系列に見る

色んな時代に話が飛びながら少しずつ事実が判明していきますが、すごくうまくまとまっています。

もう少し別の観点から見るのに、主人公の時間軸の視点でまとめてみます。

  • <具体的な日時は不明>
    帝王切開で生まれる。生まれて 2 週間で将来の自分にさらわれる
  • ※1 1945年9月13日
    孤児院のドアの前に置かれて、ジェーンと名付けられる
  • <1962年あたり>
    孤児院では貰い手が見つからず、ロバートソンに SpaceCorp に引き抜かれるが、数か月後、資格をはく奪される。
  • ※2 1963年4月3日
    夜間学校で男性とぶつかり恋に落ちる。
  • ※3 1963年6月24日
    男性が何も言わずにいなくなってしまう。
  • ロバートソンから SpaceCorp がスカウト目的の組織であり、極秘組織への申し出を受けるが、男性との間に子供を授かっていたためその話もなくなる。
  • 帝王切開で子供を産むが、この時に女性部分を摘出することになり、男性として生きていくことになる。
  • ※4 子供は生まれた 2 週間後にさらわれる。
  • 男性として生きていくため、名前をジョンに変え、ライターとして働く。
  • ※5 バーでバーテンダーに昔話をした結果、ロバートソンの組織に再度勧誘される。(ここから飛び回るので時系列がこんがらがる)
  • バーテンダーに ※2 に連れていかれ、今度は男性側として ※3 までの数ヶ月を過ごす。
  • ※6 バーテンダーが迎えに来て女性の自分を放置する。組織の一員となり、バーテンダーがやっていた爆弾魔の追跡を引き継ぐ。
  • ※7 映画の最初のシーンの爆弾の解体に失敗し、火傷を負う。火傷により顔も声も変わる。
  • バーテンダーとして、過去の自分を勧誘しに ※5 に行く。過去の自分を※2 に連れて行ったあと、※7 より少し前に飛ぶ。爆弾魔に逃げられるが、過去の自分を助ける。
  • ※4 に飛んで赤ん坊をさらう
  • ※1 に飛んで赤ん坊を置く
  • ※6 に飛んで男性として自分を迎えに行き組織の後継者とする。
  • 1975年 1 月 7 日のニューヨーク (爆弾事件の 2 ヶ月前) 引退場所とするが、タイムマシン装置が機能停止しない。
  • 1975年 3 月
    爆弾魔と出会い、それが自分だと認識する。将来の出来事の新聞の切り取りを見せられるが、爆弾魔を殺す道を選ぶ。
  • ・・・・映画はここまで

 

文字で書くとすごくややこしいので図にしてみました。

 

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

 

複雑なストーリーなだけあって、図にしても難しいですね。。

 

色んな疑問を説明してみる

ここまでは映画で実際に紹介されている情報をまとめていましたが、ここからは妄想の世界に入ります。

答えがないので考えても仕方がないが、色んな気になる事について考えてみます。

 

結局ニューヨークの爆破を阻止できたのか? 

ストーリー的には爆弾魔を倒したので阻止できたように見えますが、色々そうとも言いきれないヒントがまき散らされています。

そもそも映画のタイトルの Predestination は「運命」や「定め」を表し、未来が決まっているという意味です。例えば、殺した断末魔ではなくもっと若い時の断末魔が主犯の可能性だってあります。

そして気になるのがこの最後の言葉

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

日本語だと「明日の計画を話そう」と翻訳されていますが、英語だと 「You wanna know what we're going to do tommorow」と言っています。「明日の俺たちの計画を話そう」って言ってます。

この We が意味深。この場面で会話をしているバーテンダーと爆弾魔で We ではなく、裏にもっと他の誰かがいるということを匂わせてくる。例えば、もっと過去の自分と協力をしていて、その計画を紹介しようと言っている可能性も。

個人的には阻止できていないに一票という感じ。

 

一番最初の始まりは?鶏と卵みたいに成立しなくない?

タイムトラベルができるとしても、このループに入るきっかけが必要なんじゃないの?って疑問。

バーテンダーが赤ん坊をさらわないと託児所に行く事はないし、託児所の赤ん坊がいないとバーテンダーに育つ人がいない。「鶏と卵」と同じ状況。

知ってる人も多いかもしれませんが、答えのない質問の代表としてよく使われる「鶏と卵」には一説の答えがあります。短期間を切り抜くとどっちが先かは答えられませんが、すごぐ長期的に見ると答えが出るというもの。

大事なのはどこからを「鶏の卵」という言うのか。最初は全く違う種族だった鳥が、進化の過程において徐々に今の鶏の形になることで、「鶏と卵」はあり得るという考え。(これは本題ではないのでまたそのうち別記事で。。)

大事なのは「長期間徐々に変化した場合には、鶏と卵という状態はあり得る」という考え方です。今実際に「鶏と卵」がどちらも存在する状況があり得ているのだから、この映画の状況もあり得る!

 

今回の映画ではこの 1 ループしか見ていませんが、この状態がどれぐらいループしているのかはわかりません。

プリデスティネーションとされていて基本的には変わらないはずの未来ですが、実際の爆発の日は変わってきていることから、少なからず少しずつの変化があることがわかります。

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

これも映画内で説明されていないので明確な事は言えませんが、ずっとずっと少しずつ変わっていくことでこの状態になったと考えられます。

さらに、ロバートソンもこの特殊性について話しているシーンがあります。

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

このように、種族の進化のように、少しずつ少しずつ今の状態になったと考えられます。

 

世界は一つだけ?パラレルワールドってないの?

こういう系の話で多いのが、「1) 真実は一つ」パターンと「2) 複数あり得る」パターン。

例えば、過去にさかのぼって自分を殺した場合、「1) 真実は一つ」パターンだと過去の自分を殺したので自分は消滅する。「2) 複数あり得る」パターンだと自分がいない時代と自分がいる時代の2パターンが存在することとなる。

そもそも映画の設定では 11 人のエージェントが過去を修復しようとしているので、この答えは既にでているはず。

転送装置が日時指定なだけの点とか、「1) 真実は一つ」パターンを匂わせてくる点はあるが、明確に伝えられていない。

 

あとこのシーン。

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

言っているのが 「the fragments of matter after each jump, we can only repair so much」できるだけ過去を変更しないようにしています。

他でもできるだけ誰とも接さないとか、過去に干渉しすぎないことを重要視していることから「1) 真実は一つ」パターンが濃厚に思える。

 

仮説:ロバートソンも同一人物だと思う

出てくる主人公がほぼ全員同一人物という流れのなか、唯一名前がある重要な人物で、別人なのがロバートソン。(後は武器を運ぶ人とか、医者とかもいるけど、あまり重要な人物としては出ていない)

託児所で SpaceCorp に引き抜くのも、事実を隠して資格をはく奪するのも、エリートへの道を約束するのも、最後に爆弾魔のヒントを手渡すのも、全部この人。

それにロバートソンとバーテンダーの顔が似すぎだと思うのは僕だけではないはず。

 

例えば、ロバートソンがバーテンダーと爆弾魔の間の期間の人だと推測するとどうだろう?バーテンダーがジョンを後任にしたように、ロバートソンの後任がバーテンダーだという可能性は?

少なくても映画が終わる時点では、爆弾魔を殺したので未来が変わっているはず。タイムトラベルがまだできる、バーテンダーは未来でそれを確認することができる。

そこで未来が変わっていなければ、そもそものストーリーはまだまだ終わっていない。ロバートソンがそれを経験しているはずなので、「退職」としたのは形だけで戻ってくるのがわかってるのかもしれない。

映画プリデスティネーションの解説。結末までの流れを説明(ネタバレあり)

そして、ロバートソンが言っていたこの言葉

However, i've always thought we could accomplish so much more without the constant bureaucratic controls. An agent operating from the outside.

ロバートソンは組織に縛られない人が外にいる事に価値を見出している。今のバーテンダーならそれになれる。

いずれバーテンダーがロバートソンになり、ロバートソンは何かがあってやはり爆発は阻止したらダメだったんだという考えになり、ロバートソンが爆弾魔になる。

 

なんてことを寝る直前に考えていたら寝れなくなりましたとさ。

他にも 「この組織はそもそもなんであの爆発にそんなにこだわってるの?」とか「自分が経験済みの過去を無理やり替えてみたら?」とかいろいろ考えても答えが出ないことを考えさせられる映画でした。

色々「言っていないこと」はあるけど、映画の中で紹介されている点においてはすごく矛盾がないようにまとめられていると思います。

 

以上、勝手に妄想を膨らませながら書いてみました。

 

PS. この映画好きな人はバタフライ エフェクトも好きだと思うけど、字幕版が見つからない。日本だと流行らなかったのかな?

Prime か Netflix で早く配信してほしい!


Butterfly Effect (バタフライ エフェクト)